お葬式コラム

美しい自然環境を守る樹木葬…世界のお葬式事情(スイス編)

風習
- 2023.01.04(水)

ヨーロッパの中央付近に位置するスイス連邦は、国土の殆どが山岳地帯で、豊かな自然に囲まれた国です。その昔、宗教紛争によって武装中立を宣言、現在は永世中立国として国際機関の本部が置かれています。国民の約3分の2はキリスト教を信仰、次いでイスラム教、ユダヤ教と言われます。

 

スイスでは、親しい人が亡くなった場合、ご遺族から直接電話で連絡があるようです。また、地域新聞の死亡広告欄に亡くなった事を掲載する風習も残っています。知らせを受けた人は、遺族にカードをお送りします。親しい間柄の場合は、現金や花券を同封することもあります。

現金の場合、金額は10〜30フラン程度、日本円で1,000円〜3,000円相当と言われます。

 

お葬式は一般的に教会で行われ、牧師さんの話に耳を傾けながら故人を偲び、賛美歌を歌い、参列者で献花をします。参列する際の服装は、喪服などの明確なドレスコードはないものの、ジャケットを用意し、色はダークトーンで統一。女性はアクセサリーを控えめに、ストッキングは履かないことが多いそうです。

 

スイスで特徴的なのは、生前に火葬か埋葬かを選べること。そして約85%が火葬を選択していることです。

また、古くから樹木葬が行われており、昨今では環境保護の視点から樹木葬を望む人が増えていると言われています。

スイスの樹木葬は、森林地に生息する樹木を墓標とします。このスタイルは「森のお墓」と呼ばれることもあります。

樹木葬を希望する場合、生前から契約を結んで森林の中にある任意の木を指定し、購入しておきます。そして亡くなると、その木の根元に穴を掘って遺灰または遺骨を埋めるという流れになります。遺骨を納める骨壺は、土によって自然に分解されやすい素材が使われており、土壌の自然環境を保護するという観点に基づいています。

美しく広大な森林の中で土に帰るスイスの樹木葬。

環境保護への取り組みがますます必要とされる時代にふさわしい、人と地球にやさしい埋葬のカタチといえましょう。