お葬式コラム

美しい花と鐘の音に送られるお葬式…世界のお葬式事情(ドイツ編)

風習
- 2022.08.01(月)

ヨーロッパのほぼ中央に位置する、中世の面影を残す街並みが息づく国、ドイツは、古くからキリスト教の影響を色濃く受けています。

そんな背景もあり、ドイツのお葬式は、独自の風習やしきたりが見られます。

 

ドイツでは人が亡くなると、地域新聞に死亡通知の広告を出すことが多いです。

広告には、亡くなった日やお葬式の日程・場所・遺族の名前や住所などを掲載します。亡くなった方が社会人であれば、企業がお悔やみの広告を出すこともあるようです。

 

近しい人が亡くなった場合は、電話やメール、黒い縁のついた手紙で連絡を受けます。お葬式は、亡くなってから数日〜数週間後に行われることが多いので、日本のようにバタバタと準備することはないそうです。

出席有無は個人の判断に任せられ、出席が難しい場合は、ご遺族に花輪やお悔やみの言葉を添えたカードを送ります。20〜30ユーロを同封することもあるようです。

 

お葬式当日、参列者は、黒やグレーを中心とした暗い色で露出の少ない服を着て教会に出向き、香典ではなく美しい花のリースをお供えして、お悔やみを表すことが多いようです。20〜50ユーロのお金を持ってくる人もたまにいますが、花のリースを用意する方が多いこともあり、香典返しはありません。

 

お葬式は、約30分〜1時間ほど。その後土葬または火葬を行います。

現在は7割が火葬と言われますが、田舎では土葬が残っている地域もあり、昔ながらの厳かな参列が行われています。

参列とは、馬車の霊柩車・または棺持ちによって運ばれる棺の後ろをみんなで歩いて墓地まで行くしきたりです。

ときにはブラスバンドが先頭にたって演奏をすることもあります。教会ではこの葬列が続く間、鐘の音を打ち鳴らし、死者への尊敬の念と参列者への感謝を示します。

火葬の場合、ドイツでは日本よりも高温の炉を使用するため、骨は残らず全て灰になってしまうそうです。日本のように火葬場まで行って見送ることはできないため、葬儀後は参列者でカフェやレストランに行き、軽食をとりながら故人について語り合うのが一般的です。

 

昨今の環境問題をふまえ、火葬が加速しているドイツのお葬式。

とはいえ、美しい花でお悔やみを表したり、葬儀や参列中に鐘を鳴らし続けるなど、故人を尊重する想いは、これからも変わらず受け継がれていくことでしょう。