世界各国のお葬式にまつわるしきたり、風習をご紹介するコラム。
今回はトルコのお葬式についてご紹介します。
トルコ イスタンブール ブルーモスク
トルコで最も有名なイスラム教の礼拝堂
アジアとヨーロッパの2つの大州にまたがる共和制国家、トルコ共和国。
人口は約8,566万人、首都はアンカラ、公用語はトルコ語で、通貨はトルコリラ。国土面積は78万平方キロメートルで、日本の約2倍の広さと言われます。また、宗教は人口の約99%がイスラム教です。
トルコでは、お亡くなりになると、すぐに体を清め、埋葬(土葬)をするのが一般的です。アラブの風土の名残で腐敗を防ぐというのもありますが、何より死者を安らかに眠らせてあげたいという思いが根付いているからです。
トルコ イスタンブール ブルーモスク内部
青を基調としたタイルが敷き詰められており世界で最も美しいモスクと言われてます。
体を清める際は、女性は女性に、男性は男性に清めてもらいます。
ホジャと呼ばれる男性僧侶が男性を担当し、女性はホジャの奥さんが担当します。綺麗に洗われたご遺体は、裸のままでケフィンという白い布に包まれ、棺に納められます。
ケフィンは天然素材で、縫い目や装飾品がないものを用いなくてはなりません。
なぜなら「生まれたままの状態で土に還す」というのがイスラムの考え方で、人為的な施しは考えに反することになるからだそうです。
お葬式は、1日5回行われる礼拝の合間にイマームと呼ばれる礼拝の導師が祈りを捧げるという比較的簡素なスタイルになります。
トルコ カッパドキア ギョレメ墓地
お墓が花壇になっていて花を植えるスタイルもあるそうです。
また、ご遺体を車に乗せて墓地へ向かい埋葬するのは、農村部では男性のみの場合が多いようです。
埋葬時には、棺からケフィンに包まれたご遺体を出し、右肩を下に頭をメッカの方角にむけて行うしきたりがあるそうです。
埋葬が終わると礼拝堂へ移動し、礼拝の時間を過ごしたり軽食をとったりして過ごします。
参列者は喪服を着ることはないですが、地味で露出のない服装をするのが通例です。
トルコでは、葬儀費用はほとんどかからず、墓地の管理費用もないそうです。お墓は日本のように家族が同じところに埋葬されるのではなく、墓地はあちこちバラバラだそうです。
イスラムの考えに基づいた独自のしきたりが息づくトルコのお葬式。これからも末永く続くことを心から願います。