お葬式コラム

心を込めた短いお葬式…世界のお葬式事情(スペイン編)

風習
- 2022.12.01(木)

南ヨーロッパのイベリア半島に位置するスペインは、中世ではイスラム教が多数派を占める地域もありましたが、現在ではカトリックが大多数を占めると言われています。お葬式については、カトリックの伝統的なしきたりを残しつつ、近年では異なる独自のしきたり、風習があるようです。

 

まずスペインでは、人がお亡くなりになると親しい相手や親族などには電話で知らせます。

そして自宅に集まり、葬儀前に故人様と最後の夜を過ごす、いわゆる日本のお通夜のような儀式を行います。しかしながら近年はこの習慣がなくなりつつあります。

昨今では、葬儀コーディネーターにより故人様は「タナトリオ」と呼ばれる葬儀場に運ばれ、亡くなってから24時間〜48時間以内に埋葬することが義務づけられているそうです。

 

葬儀はタナトリオに併設されている教会で行うことが多く、牧師様のお話と賛美歌、献花などが行われますが平均的に1時間位で、短いのが特徴です。

服装は黒い服が基本ですが、最近では普段着で参列する人も多いようです。

 

 

また、スペインでは一般的に親族や参列者はお葬式で泣くこと、叫んだりすることは御法度なのだそうです。

あくまで冷静に努め、悲しみをぐっとこらえることが求められます。

 

お葬式が終わると、棺は霊柩車のような車に載せられて埋葬、または火葬されます。葬儀会社の調査によると約6割が土葬、約4割が火葬で、ここ数年で火葬の割合が急速に増えているそうです。

 

 

なお、年に一度、11月1日に「カスタニャーダ」と呼ばれるお盆のような習慣があり、人々はお墓参りに行って亡くなった人やご先祖様のご冥福をお祈りし、焼き栗とパナジェッツという芋を使ったお菓子を家族と一緒に食べて過ごします。この日は祝日で、郊外の墓地に行く車で渋滞が起こることも多いそうです。

 

 

2020年、スペインでは新型コロナウイルスの影響で、自宅での通夜が禁止になったり、葬儀の参加者の人数が制限されるようになりました。

お別れの儀式の時間は短くても悲しみをグッとこらえ、心を込めて故人を送り出すスペインのお葬式。

時代は移り変わっても、送る人たちの想いはこれからも末永く受け継がれていくことでしょう。