お葬式コラム

やり方変われど想いは同じ・・・福島県のお葬式

風習
- 2021.09.16(木)

全国で3番目に広大な面積を誇る福島県。

3方部・7つのエリアに分かれ、それぞれに特徴的な文化や風土が魅力です。

猪苗代湖や阿武隈洞など豊かな自然と歴史に抱かれた「会津地方」や四季折々の花と果物が魅力の「中通り」、太平洋に面した温暖な気候の「浜通り」などがございます。

その広さがあるからこそ、お葬式の文化も地域によって少しずつ異なります。今回はそんな福島県のお葬式の風習について、ご説明いたします。

 

火葬はお葬式の前?それとも後?

福島県は江戸時代、有名な会津藩を始め福島藩や二本松藩など計13の藩に分かれておりました。

その名残からお葬式の前に火葬する地域と、お葬式の後に火葬する地域が今も分かれているそうです。

 

棺に刃物を入れる?

福島県の一部の地域では、故人様を棺に納める際、副葬品として棺に刃物を入れることがあるそうです。

男性の故人様の場合には剃刀、女性の故人様の場合にははさみを入れる風習です。

私たちの地域大阪でも、ご遺体の上に魔よけとしての意味合いで守り刀を置くことがありますが、福島県の刃物は意味合いが異なり、湯灌を行う際に男性の髭をそったり女性の髪を短く切ったりしていた名残のようです。

 

出棺の際の独特な風習

また、竹などを弓状に曲げて作った「仮門(かりもん)」を玄関の脇に用意し、出棺の際、棺や葬列をくぐらせる風習が残っています。

これには故人様の魂との別離を確実にするといった意味が込められており、出棺後にはすぐに壊します。こうすることで、もし死者が戻ろうとしても、この世とあの世の境になる門がないので、この世に帰って来られないと考えられています。

大阪でも、火葬場に行くルートと返ってくるルートを違うルートにすることで、戻ってこないようにする風習がございますが、同じ考えです。農村部などでは、「仮門」を燃やす「門火(かどび)」を焚く地域もあります。「門火」をたくことで、故人が迷うことなくあの世へ行けるようにという思いが込められているそうです。

 

地域によっても風習が異なる

その他にも、地域によって「友引に法要を行わない」地域や「お参りの際は、受付だけ済まして帰る」地域、「お墓で親族全員でおまんじゅう」を食べるなどなど、地域によってさまざまな風習が今も残っているそうです。

地域でこれだけの風習が変わろうとも、皆様のお葬式への想いは「大切な故人様の無事を願い、私たちを見守ってほしい」というもの。それだけは変えてはいけない日本人の心だと改めて感じました。