世界各国のお葬式にまつわるしきたり、風習をご紹介するコラム。
今回はベトナムのお葬式についてご紹介します。
南アジアのインドシナ半島東部に位置する共和制国家、ベトナム。
人口は約9,886万人、面積は日本から九州を除いた面積とほぼ同じ大きさと言われます。
首都はハノイ、公用語はベトナム語で通貨はドン。
宗教は人口の多くが仏教(大乗仏教)で、その他はキリスト教、イスラム教、カオダイ教、ホアハオ教です。
ベトナムの南部では、死は悲しい別れというよりも、新たな人生の始まり、
故人の旅立ちとして祝うべきものだという考え方があります。
こうしたことから、故人を3日3晩かけておしゃべりをしたり歌を歌ったりして
賑やかに送り出す風習が根付いているそうです。
ベトナム チュア ヴィンギエム 日本名 永厳寺
ホーチミン二大寺院の1つです
ベトナムのお葬式は、自宅での開催が一般的です。
一軒家であれば自宅でお葬式を行えるのですが、
アパート暮らしの方は葬儀場またはお寺で行います。
不慮の事故で亡くなった場合は、家の中に魂が入れないという考えもあり、家の前(外)で行われることもあります。
服装は男性の場合、黒や暗い色のスーツ、
女性は暗い色のワンピースやシャツにパンツなどの服装が一般的です。
地域によっては、ご遺族は白装束や白いハチマキを纏うこともあります。
ベトナム お葬式に参加する楽団
参列者は、受付で名前を伝えて香典を渡します。
相場は20万〜30万ドンと言われます。
お葬式では名前を呼ばれたら祭壇へ進み、線香を立てます。
このときひざまずいて大きく上半身を屈める跪拝をする方が多いそうです。
一連の流れが終わると、他の参列者とお食事やお菓子を食べて談笑を楽しみます。
楽隊が楽器を奏で、故人との最後のお見送りの時にみんなで歌を歌います。
ベトナム お葬式の白装束
ベトナムでは都市部の方では火葬も増えてきてはいますが、
まだまだ棺桶ごと埋葬する土葬が一般的です。
またお墓のない方はお寺に遺骨を預かってもらうしくみもあるそうです。
故人の新しい旅立ちを賑やかに送り出すベトナムのお葬式。
これからも末永く続くことを心から願います。