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葬儀において、遺族側の立場は参列者とは大きく異なります。特に喪主や家族は、悲しみの中でも多くの対応を求められる場面が多く、事前に基本的なマナーを理解しておくことが大切です。
この記事では、「遺族のマナー」について、喪主・家族それぞれの立場から分かりやすく解説します。
1. 遺族の基本的な立ち位置と心構え
遺族とは、故人と最も近しい家族を指します。喪主を中心に、配偶者・子・孫・兄弟姉妹などがこれに含まれます。
葬儀は、参列者に故人を見送ってもらう場でもあるため、「感謝と礼節」を忘れないことが基本的なマナーです。
● 遺族の心構え
- 深い悲しみの中でも、あいさつや応対は丁寧に
- 「お世話になりました」「ご会葬ありがとうございます」と感謝を伝える
- 葬儀は「お別れの儀式」であると同時に「社会的儀礼」であることを意識する
2. 喪主の役割と対応マナー
喪主は葬儀全体の中心となる立場です。葬儀社や僧侶、参列者への対応など多岐にわたる責任を担います。
● 喪主の主な役割
- 葬儀の形式や規模を決める(家族葬・一般葬など)
- 葬儀社・寺院との打ち合わせ
- 弔問客・参列者への挨拶や対応
- 葬儀後の法要・香典返しの準備
● 喪主としての言葉遣い・挨拶例
- 通夜や告別式では「本日はご多忙の中、ご会葬いただきありがとうございます」と丁寧に挨拶。
- 終始落ち着いた口調で、相手の目を見て感謝を伝える姿勢が大切です。
● 注意点
- 感情を抑え込みすぎる必要はありませんが、冷静な対応を心がける
- 弔問客への対応は、できるだけ喪主か家族代表が統一した方が印象が良い
3. 家族・親族の立ち居振る舞い
喪主を支える家族もまた、葬儀全体の印象を左右します。服装や言葉遣い、参列者への対応など、細やかな気配りが求められます。
● 葬儀中の立ち居振る舞い
- 通夜や告別式では、あまり動き回らない
- 携帯電話は電源を切るかマナーモードに
- 他の親族と連携し、参列者を丁寧に案内する
● 家族としての言葉遣い例
- 「本日はお越しいただき、ありがとうございます」
- 「お心遣い、誠にありがとうございます」
- 香典を受け取る際は「ありがとうございます。お預かりいたします」と丁寧に。
4. 喪服・服装のマナー(遺族側)
葬儀での服装は、遺族側ほど厳格に求められます。
● 男性の服装
- 正喪服:黒のモーニングコートまたは礼服
- シャツ:白無地
- ネクタイ・靴下・靴:すべて黒
- 時計やアクセサリーは外す
● 女性の服装
- 正喪服:黒のワンピースまたはアンサンブル
- ストッキング・靴・バッグ:すべて黒で統一
- アクセサリーは黒真珠または何もつけない
● 子ども・学生の服装
- 制服がある場合は制服を着用
- なければ、地味な色合い(黒・紺・グレー)で統一
5. 通夜・葬儀・告別式での対応の流れ
遺族として、各場面での基本的な流れとマナーを押さえておきましょう。
● 通夜での対応
- 弔問客を玄関または受付近くで迎える
- 焼香後には「お忙しい中ありがとうございます」と一言添える
- 通夜振る舞い(軽食)をすすめる際は「どうぞお召し上がりください」と声をかける
● 告別式での対応
- 開式前は静かに着席し、進行に従う
- 焼香の際は遺族代表として喪主のあとに行うことが多い
- 弔辞や弔電には深く頭を下げて感謝を示す
6. 弔問客への接し方・香典対応
● 香典の受け取り方
- 両手で受け取り、「ありがとうございます。お預かりいたします」と丁寧に
- 香典袋はむき出しのまま扱わず、袱紗(ふくさ)を使うのが望ましい
● 通夜振る舞いやお返しのマナー
- 通夜振る舞いは無理にすすめず、「よろしければお召し上がりください」と控えめに
- 香典返しは、葬儀後1か月前後の「忌明け」に送るのが一般的
7. 葬儀後のマナーと挨拶
葬儀が終わっても、遺族の役割は続きます。
初七日や四十九日などの法要、お世話になった方へのお礼など、丁寧に行うことが信頼につながります。
● 法要・お礼の対応
- 法要の日程や場所を案内する際は、早めに連絡
- 弔問やお手伝いをいただいた方には、後日お礼状や電話で感謝を伝える
8. よくある質問(FAQ)
Q1. 葬儀中に涙をこらえられないと失礼ですか?
A. 無理に我慢する必要はありません。自然な感情は大切ですが、声をあげすぎないように注意しましょう。
Q2. 小さな子どもを連れて参列しても良いですか?
A. 故人との関係や葬儀の雰囲気によりますが、静かにできるよう配慮すれば問題ありません。
Q3. 弔問客への挨拶は喪主がすべて行うべきですか?
A. 基本は喪主が中心ですが、人数が多い場合は家族が分担して構いません。
9. まとめ:遺族のマナーは「感謝」と「礼節」が基本
遺族側のマナーで最も大切なのは、「参列してくださる方への感謝の気持ち」を言葉と態度で伝えることです。
葬儀は故人を見送るだけでなく、社会とのつながりを再確認する場でもあります。
落ち着いた振る舞いと誠実な対応で、故人にふさわしいお見送りをしましょう。



