お葬式コラム

遺族側のマナー(喪主・家族の対応)

マナー
- 2025.11.18(火)

葬儀において、遺族側の立場は参列者とは大きく異なります。特に喪主や家族は、悲しみの中でも多くの対応を求められる場面が多く、事前に基本的なマナーを理解しておくことが大切です。
この記事では、「遺族のマナー」について、喪主・家族それぞれの立場から分かりやすく解説します。

1. 遺族の基本的な立ち位置と心構え

遺族とは、故人と最も近しい家族を指します。喪主を中心に、配偶者・子・孫・兄弟姉妹などがこれに含まれます。
葬儀は、参列者に故人を見送ってもらう場でもあるため、「感謝と礼節」を忘れないことが基本的なマナーです。

● 遺族の心構え

  • 深い悲しみの中でも、あいさつや応対は丁寧に

  • 「お世話になりました」「ご会葬ありがとうございます」と感謝を伝える

  • 葬儀は「お別れの儀式」であると同時に「社会的儀礼」であることを意識する

2. 喪主の役割と対応マナー

喪主は葬儀全体の中心となる立場です。葬儀社や僧侶、参列者への対応など多岐にわたる責任を担います。

● 喪主の主な役割

  1. 葬儀の形式や規模を決める(家族葬・一般葬など)

  2. 葬儀社・寺院との打ち合わせ

  3. 弔問客・参列者への挨拶や対応

  4. 葬儀後の法要・香典返しの準備

● 喪主としての言葉遣い・挨拶例

  • 通夜や告別式では「本日はご多忙の中、ご会葬いただきありがとうございます」と丁寧に挨拶。

  • 終始落ち着いた口調で、相手の目を見て感謝を伝える姿勢が大切です。

● 注意点

  • 感情を抑え込みすぎる必要はありませんが、冷静な対応を心がける

  • 弔問客への対応は、できるだけ喪主か家族代表が統一した方が印象が良い

3. 家族・親族の立ち居振る舞い

喪主を支える家族もまた、葬儀全体の印象を左右します。服装や言葉遣い、参列者への対応など、細やかな気配りが求められます。

● 葬儀中の立ち居振る舞い

  • 通夜や告別式では、あまり動き回らない

  • 携帯電話は電源を切るかマナーモードに

  • 他の親族と連携し、参列者を丁寧に案内する

● 家族としての言葉遣い例

  • 「本日はお越しいただき、ありがとうございます」

  • 「お心遣い、誠にありがとうございます」

  • 香典を受け取る際は「ありがとうございます。お預かりいたします」と丁寧に。

4. 喪服・服装のマナー(遺族側)

葬儀での服装は、遺族側ほど厳格に求められます。

● 男性の服装

  • 正喪服:黒のモーニングコートまたは礼服

  • シャツ:白無地

  • ネクタイ・靴下・靴:すべて黒

  • 時計やアクセサリーは外す

● 女性の服装

  • 正喪服:黒のワンピースまたはアンサンブル

  • ストッキング・靴・バッグ:すべて黒で統一

  • アクセサリーは黒真珠または何もつけない

● 子ども・学生の服装

  • 制服がある場合は制服を着用

  • なければ、地味な色合い(黒・紺・グレー)で統一

5. 通夜・葬儀・告別式での対応の流れ

遺族として、各場面での基本的な流れとマナーを押さえておきましょう。

● 通夜での対応

  • 弔問客を玄関または受付近くで迎える

  • 焼香後には「お忙しい中ありがとうございます」と一言添える

  • 通夜振る舞い(軽食)をすすめる際は「どうぞお召し上がりください」と声をかける

● 告別式での対応

  • 開式前は静かに着席し、進行に従う

  • 焼香の際は遺族代表として喪主のあとに行うことが多い

  • 弔辞や弔電には深く頭を下げて感謝を示す

6. 弔問客への接し方・香典対応

● 香典の受け取り方

  • 両手で受け取り、「ありがとうございます。お預かりいたします」と丁寧に

  • 香典袋はむき出しのまま扱わず、袱紗(ふくさ)を使うのが望ましい

● 通夜振る舞いやお返しのマナー

  • 通夜振る舞いは無理にすすめず、「よろしければお召し上がりください」と控えめに

  • 香典返しは、葬儀後1か月前後の「忌明け」に送るのが一般的

7. 葬儀後のマナーと挨拶

葬儀が終わっても、遺族の役割は続きます。
初七日や四十九日などの法要、お世話になった方へのお礼など、丁寧に行うことが信頼につながります。

● 法要・お礼の対応

  • 法要の日程や場所を案内する際は、早めに連絡

  • 弔問やお手伝いをいただいた方には、後日お礼状や電話で感謝を伝える

8. よくある質問(FAQ)

Q1. 葬儀中に涙をこらえられないと失礼ですか?
A. 無理に我慢する必要はありません。自然な感情は大切ですが、声をあげすぎないように注意しましょう。

Q2. 小さな子どもを連れて参列しても良いですか?
A. 故人との関係や葬儀の雰囲気によりますが、静かにできるよう配慮すれば問題ありません。

Q3. 弔問客への挨拶は喪主がすべて行うべきですか?
A. 基本は喪主が中心ですが、人数が多い場合は家族が分担して構いません。

9. まとめ:遺族のマナーは「感謝」と「礼節」が基本

遺族側のマナーで最も大切なのは、「参列してくださる方への感謝の気持ち」を言葉と態度で伝えることです。
葬儀は故人を見送るだけでなく、社会とのつながりを再確認する場でもあります。
落ち着いた振る舞いと誠実な対応で、故人にふさわしいお見送りをしましょう。