お葬式コラム

数珠の持ち方・使い方・宗派別の違い

マナー
- 2025.11.05(水)

葬儀や法要に参列するとき、「数珠をどう持てばいいの?」「どの宗派でも同じ?」と迷う方は多いものです。
数珠は単なる仏具ではなく、故人に祈りを捧げるための大切な道具
正しい持ち方や使い方を知っておくことで、心を込めてお参りすることができます。

本記事では、「数珠の持ち方・使い方・宗派別の違い」をわかりやすく解説します。
これから葬儀に参列する方、また改めてマナーを確認したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

数珠とは?その意味と由来

仏教における数珠の役割

数珠はもともと、**「念珠(ねんじゅ)」**とも呼ばれ、仏教で祈りや念仏の回数を数えるために使われてきました。
仏様の教えを心に刻み、煩悩を鎮めるための「心の支え」として、古くから僧侶や信徒に愛用されています。

数珠の玉は108個が基本形。これは「人間の108の煩悩」を象徴しており、念仏を唱えるたびに1つずつ煩悩を消していくという意味があります。

数珠の種類:本式数珠と略式数珠

本式数珠とは

本式数珠(正式数珠)は、宗派ごとに形・玉の数・房の形が異なるのが特徴です。
僧侶や熱心な信徒が使用し、宗派の教えに沿って作られています。
各宗派における違いは後ほど詳しく解説します。

略式数珠とは

一般の参列者が多く使うのは、略式数珠です。
宗派を問わず使用できるように作られており、男女でサイズやデザインが異なります。

  • 男性用:玉が大きく、色は黒や茶系が主流。房は1本または2本。

  • 女性用:玉が小さく、ピンクや白、藤色など柔らかな色味も多い。房は二重房が多い。

どちらを選ぶにしても、「自分専用の数珠を持つ」ことが大人のマナーとされています。

数珠の正しい持ち方・扱い方

1. 持ち歩くときのマナー

数珠はバッグの中に入れて持ち歩いて構いませんが、直接むき出しに入れないようにしましょう。
専用の「数珠袋」や「袱紗(ふくさ)」に入れておくのが丁寧です。
他の荷物と一緒に無造作に扱うのは避けるべきです。

2. 葬儀会場での持ち方

葬儀会場に着いたら、数珠は手に持ちます。
一般的な持ち方は以下のとおりです。

  • 右手に数珠を持ち、左手の親指と中指の上に掛ける

  • または両手を胸の前で合わせ、数珠を手のひらにかけて合掌する

焼香や合掌の際は、数珠を両手にかけたまま行います。
手から外す必要はありません。

3. 使用後のマナー

葬儀が終わったら、数珠は丁寧に袋へ戻します。
数珠は「仏具」なので、机や椅子の上にそのまま置かず、布の上などに静かに置きましょう。

宗派別|数珠の使い方と違い

宗派によって数珠の形状や使い方に違いがあります。
ここでは主要な宗派ごとの特徴を簡潔にまとめます。

浄土真宗

  • 玉数:108玉+親玉1つ+天玉2つ

  • 特徴:両手に掛けて使う「二輪数珠」

  • 使い方:両手にかけて合掌し、焼香の際も外さない

浄土宗

  • 玉数:108玉

  • 特徴:片手でも両手でも使用可

  • 使い方:左手に掛け、合掌時に両手で包み込むように持つ

真言宗

  • 玉数:108玉+親玉1つ+四天玉

  • 特徴:房が2本、左右対称の形式

  • 使い方:右手に掛けて左手を添え、合掌時に両手で包む

曹洞宗・臨済宗(禅宗)

  • 玉数:108玉または半数

  • 特徴:一連で使用するタイプが多い

  • 使い方:左手に持ち、合掌時に両手にかける

日蓮宗

  • 玉数:108玉+親玉+弟子玉2つ

  • 特徴:独自の「ひら打ち」方式

  • 使い方:両手に掛け、房を垂らして胸の前で軽く打つようにする

宗派にこだわらない「略式数珠」の使い方

宗派がわからない場合や、家族葬・一般葬で参列する場合は、略式数珠を使って問題ありません。
特に近年は「宗派を問わず参列する」ケースが多く、略式数珠が一般的になっています。

ただし、略式であっても「他人から借りる」のは避けましょう。
数珠は仏具であり、**“魂の拠りどころ”**とされるため、自分専用を持つことが望ましいとされています。

数珠の選び方:素材と色で印象が変わる

数珠にはさまざまな素材があります。素材によって印象も変わります。

種類

特徴

黒檀・紫檀

格調高く男性に人気。落ち着いた印象。

水晶

清浄で透明感があり、女性に人気。

瑪瑙(めのう)・翡翠(ひすい)

魔除けの意味を持つ。

桜の木・菩提樹

柔らかい印象で、自然派志向の人に人気。

年齢や立場に合わせて、落ち着いた色・素材を選ぶと良いでしょう。

数珠に関するよくある質問

Q1. 家族で共用しても大丈夫?

  1. 本来は1人に1つの数珠を持つのがマナーです。
    共用でも問題はありませんが、故人や宗派への敬意を考えると、専用の数珠を用意するのが理想です。

Q2. 数珠を忘れたときはどうすればいい?

  1. 焼香や合掌は、数珠がなくても心を込めて行えば問題ありません。
    ただし今後のために、葬儀用バッグに数珠を常備しておくと安心です。

Q3. 数珠はどこで買うのが良い?

  1. 仏具店・百貨店・オンラインショップなどで購入できます。
    最近では宗派別・男女別の解説付き商品も増えています。
    初めて購入する方は、専門店で相談すると確実です。

まとめ:数珠の扱いは「心の持ち方」そのもの

数珠は、単なる葬儀の持ち物ではありません。
それは、故人への敬意と祈りの象徴です。
正しい持ち方や扱いを身につけることで、形だけでなく心からの弔意を表すことができます。

もし宗派や作法に迷ったとしても、「敬う心」を持って手を合わせることが何より大切です。
この機会に、自分専用の数珠を見直してみてはいかがでしょうか。