お葬式コラム

香典返しの時期・相場・お礼マナー

マナー
- 2025.11.12(水)

葬儀後、故人にお供えいただいた香典への感謝を伝える「香典返し」。
悲しみの中で慌ただしく過ごす時期だからこそ、「いつ・何を・どのように返せばいいのか」と迷う方も多いでしょう。

この記事では、香典返しの正しい時期・金額相場・贈り方・お礼のマナーを、初めての方にもわかりやすく解説します。

1. 香典返しとは?意味と目的を理解しよう

「香典返し」とは、葬儀の際に香典をいただいた方へ、感謝の気持ちを込めてお返しの品を贈る慣習のことです。

● 香典返しの意味

香典は、本来「故人の供養」のためにいただくお金。
そのお心遣いに対し、「おかげさまで無事に法要を終えました」という報告とともに、お礼と供養の気持ちを形にしてお返しするのが香典返しの目的です。

● 香典返しの位置づけ

  • お礼の気持ちを伝える

  • 故人に代わって感謝を示す

  • 忌明けの報告を兼ねる

2. 香典返しを贈る時期はいつ?

● 一般的なタイミング:「忌明け(四十九日)」後

もっとも一般的なのは、四十九日法要を終えたタイミングで贈る方法です。
仏教では、四十九日をもって「忌明け」とされ、故人の魂が成仏すると考えられています。

そのため、

「無事に忌明けを迎えました。生前中のご厚情、誠にありがとうございました」
という意味を込めて香典返しを贈ります。

● 早めに返すケース(家族葬など)

最近では家族葬が増え、葬儀当日に香典返しを「当日返し」としてお渡しすることも増えています。
これは、後日改めて贈る負担を減らすための現代的なスタイルです。

● 地域による違い

  • 関東地方:忌明け(四十九日)後に贈るのが主流

  • 関西地方:三十五日(五七日)で忌明けとする地域も

地域風習によって異なるため、葬儀社や寺院に確認しておくと安心です。

3. 香典返しの金額相場と考え方

香典返しの金額は、いただいた香典の半分から3分の1程度が一般的な目安です。

香典額

香典返しの目安

贈り物の例

3,000円

1,000〜1,500円

お菓子・お茶・タオル

5,000円

2,000〜2,500円

コーヒー・カタログギフト

10,000円

3,000〜5,000円

食用油・海苔・上質なお茶

30,000円以上

1/3程度

高級カタログギフト・上品な食品詰め合わせ

● 「半返し」が基本

昔から「半返し」が一般的とされ、「いただいた金額の半分をお返しする」ことが礼儀とされています。
ただし、高額の香典をいただいた場合は、3分の1程度でも問題ありません。

4. 香典返しに選ばれる人気の品物

香典返しでは、「消えもの」(形に残らない消耗品)が好まれます。
これは、「悲しみを残さないように」という意味を持っています。

● 定番の香典返し品

  • お茶(緑茶・紅茶・コーヒーなど)

  • お菓子(焼き菓子・羊羹・クッキー)

  • 海苔・乾物・調味料セット

  • タオル・石鹸・洗剤セット

  • カタログギフト(好みに合わせやすく人気)

● 避けたほうが良い品

  • 刃物(縁を切ることを連想させる)

  • 派手な色合い・高級ブランド品(弔事には不向き)

5. のし(掛け紙)の書き方・マナー

香典返しには、必ずのし紙を掛けます。弔事用の水引を使用し、表書きや名入れにも注意が必要です。

● のし紙の種類

  • 水引:黒白または双銀の結び切り

  • 表書き:「志」または「満中陰志」「忌明志」など地域で異なる

● 表書きの例

宗派・地域

表書き例

仏教(一般)

志・満中陰志

神式

志・偲び草

キリスト教

志・感謝

地域慣習(関西など)

満中陰志

● 名入れの書き方

下段には喪主の名字または「○○家」と書くのが一般的です。
例:「山田」「山田家」

6. 香典返しの贈り方・渡し方

● 郵送が一般的

遠方の方や、葬儀当日に渡せなかった場合は、宅配便での郵送が一般的です。
品物には、必ず「挨拶状」を添えましょう。

7. 挨拶状の書き方と例文

挨拶状は、香典返しに欠かせない大切な要素です。
形式ばかりでなく、感謝の気持ちを込めた文章にしましょう。

● 挨拶状の基本構成

  1. 忌明けの報告

  2. 香典へのお礼

  3. 今後の支援への感謝

● 例文①(一般的な文面)

謹啓
このたびはご丁重なるご厚志を賜り、誠にありがとうございました。
おかげをもちまして○月○日に忌明けの法要を無事に相済ませました。
つきましては、心ばかりの品をお贈り申し上げます。
今後ともご厚誼のほど、お願い申し上げます。
敬具

● 例文②(家族葬・略式の場合)

このたびはご丁寧なお心遣いを賜り、厚く御礼申し上げます。
忌明けを迎えましたので、ささやかながらお礼の品をお届けいたします。
略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます。

8. 当日返し(即日返し)のマナー

最近は、葬儀当日にその場で香典返しをお渡しする「当日返し」が増えています。
特に家族葬では、葬儀後の手間を省けるため人気の方法です。

● 当日返しのポイント

  • 2,000〜3,000円程度の品物を用意(お茶・タオル・菓子など)

  • のしは「志」表記でOK

  • 後日高額香典をいただいた場合は、改めて追加でお返しする

9. 香典返しの注意点・よくある質問

Q1. 香典返しを忘れてしまった場合は?
A. 気づいた時点でお詫びとともに送るのがマナーです。「遅くなりましたが」と一言添えましょう。

Q2. 香典辞退をした場合も返すべき?
A. 香典をいただいていない場合は不要です。ただし弔電や供花をいただいた場合は、お礼状を送るのが丁寧です。

Q3. 香典返しをまとめて贈るのは失礼?
A. 同居家族や親族へのお返しをまとめるのは問題ありません。ただし、それぞれの方への感謝を忘れずに。

10. まとめ|香典返しは「心を込めた感謝のしるし」

香典返しは、「形式」ではなく「感謝の気持ち」を伝えるための大切な習慣です。
正しい時期・金額・マナーを知ることで、相手に誠意が伝わるお礼ができます。

故人を想いながら、いただいたご厚意に感謝を込めて。
それが、何よりの「供養」につながります。